話の束

本業のかたわら、たまに本も書いています。それとは別で、きままにエッセイとか小説とか、ぽろぽろと書いてみたいと思いました。

生まれる前の話

娘は、生まれる前の話を嫌がる。

 

僕が子どもの頃の話。

僕と妻とのなれそめ。

新婚旅行の話。

 

楽しかった話ほど、両手で耳をふさいで首を振る。

笑いながら「なぜいやなの?」と聞いてみた。

 

「私がいない世界があるなんて言わないで」

 

 

 

それは死に似ている。