話の束

本業のかたわら、たまに本も書いています。それとは別で、きままにエッセイとか小説とか、ぽろぽろと書いてみたいと思いました。

となりのマイナちゃん

マイナちゃんとくーちゃん

「あなた、くーちゃんって知ってる?」 食卓で少し得意げに質問してくる妻。 それに対してふふん、と鼻で笑う私。 「マイナちゃんの犬のことだろ?知らなかったのかい?ふふん。」 そう答えた時の妻のしてやられた、という顔が目に浮かぶようだ。 そンな妄想…

マイナちゃんと旅立ったおさかな

それから数日後、いつものように妻が洗濯物を干しているとマイナちゃんがやってきた。 「おねーちゃん!おねーちゃん!」 そろそろあきらめだした妻は、洗濯物の手を止めて、ベランダの間仕切に近寄っていった。そもそもこの間仕切を超えられたらベランダか…

マイナちゃんとおさかな

その赤ん坊がいつのまにかしゃべるようになった。 なんでも、妻が洗濯をしているとほぼ確実にやってくるらしい。 「おねーちゃん!おねーちゃん!」 そう叫びながらベランダの間仕切の向こうから顔を出してくるという。 「どうしたのマイナちゃん?」 「おね…

赤ん坊の頃のマイナちゃん

マイナちゃんは、マンションの隣の家に住んでいる。 マイナちゃんの両親は私たち夫婦よりも少し年上のようだ。何度か挨拶した程度だが、どうもそんな感じだ。ただ、私は年よりもかなりふけて見られるらしいので、隣も同じことを思っているかもしれない。 う…

となりのマイナちゃん

マイナちゃんは三歳らしい。 2年前ははいはいしていたから、多分それくらいなんだろう。ただ正確なところはわからない。このあいだ、ベランダで妻と話しているときに割り込み、何歳かたずねてみた。 「マイナちゃん、いくつ?」 「くーちゃん!」 いつもの…